2018年11月17日

 映画のお話 #5



皆さま、こんにちは。

9月以来の月2回目更新ですけど
今回もやはり映画のお話に致します。

話す話題には事欠かないのですが
この場で書くに値する内容となると
個人的には最も気楽な話題が映画です。

教育論や学習法、宗教論やら科学哲学
政治経済など射程は広域にあるものの
スペース的に「言葉足らずになる」なら
最初から書かない方が良いと思うので。

特に教育・学習論など 筆者との質疑を
通じて 自らにとっての整合性・意義を
正確に探らなければ有害にさえなります・・


映画なら ご興味ある方々がそれぞれ
鑑賞なさっても 何かしら得られるモノが
あるだろうと推定できますからね。

すごく有益な映画かどうかはともかく
少なくとも「有害な情報」にはならない
という点で 気楽に書ける訳なのです。

…と 導入が長くなりましたが
映画のお話#5 は特にテーマを定めず
印象深かった作品は?と自問してみて
何となくふっと思い浮かんだ作品を
いくつか挙げてみようと思います。

*「ラルースの塔」で挙げて問題ない範疇でといつも添えますが、これは名作であっても残酷・残虐・卑猥な描写が激しいものや前提知識がないとやや偏った印象になる…ある意味では「有害になりうる」ものはこのページではあえて挙げない趣旨です。




メッセージ
(Arrival,2016年/アメリカ)


突如、世界各地に現れた12の巨大な宇宙船。アメリカ軍から協力を要請された言語学者ルイーズは、地球に飛来した目的を解き明かすため、生物学者イアンと共に異星人とのコンタクトを試みる。異星人が使う言語を解読していくなかで、ルイーズは時間を行き来するような不思議な感覚を覚えるようになる。異星人が地球にやってきた本当の理由が解き明かされていくが…。


・・この作品は個人的にベスト5には
入るかなぁというくらい好きですね。

とりあえず表層的に鑑賞するだけでも
楽しめますけど、深く踏み入れるなら
じっくり練り込まれた思考・意志を
考察することができる秀作と思います。

まあ 作風に好き嫌いはあるでしょうし
時系列が錯綜して事実「分かりにくい」
(=意図的な表現ではあるとしても)
ので、集中して見ないと"??"ですが。

時間尺の制限か ご都合主義展開がない
訳ではありませんが、それでも本質的な
テーマについては知的魅力に満ちています。



オブリビオン
(OBLIVION,2013年/アメリカ)


2077年、エイリアンの侵略によって破壊され、全人類が他の惑星へと移住した後の荒廃した地球を舞台に、監視のために地球に残る主人公を待ち受けるミステリアスな運命を描く作品。

この作品は、全く期待せずに観たら
(凡作だろうと放置していたくらい)
意外と良かった!という意味で印象的。

これも突っ込みどころが無いわけでは
ありませんが、エンターテイメントとして
普通によく出来た映画だと思います。


・・ネタバレにならないようにしたら
「良かったです」「好きです」という
小学生低学年の感想文レベルのことしか
書けないのが悩ましいところですけど。



次は、インド映画。インド映画って、
とりあえず歌って踊るパートがあって
インターバル挟むくらい長い(普通に3時間超)
という印象で 馴染みは薄かったものの
最近は世界的ヒット作も多いですよね。


きっとうまくいく
(3 IDIOTS,2009年/インド)


インドの未来を担うエリート軍団を輩出する、超難関の名門工科大ICE。
ファルハーンとラジューは、そこで天才の自由人ランチョーと出会う。彼らは“3バカ”トリオとして鬼学長を激怒させ、珍騒動を巻き起こす。そんな中、ランチョーは天敵である学長の娘ピアと恋に落ちるが…。



加熱するインドの教育問題に一石を投じ
真に“今を生きる"ことを問いかける作品。

ただ、バカ騒ぎのやり取りで翻訳も
難しい部分がやや下品というか…まあ
その辺は学生ノリを流せるかどうかで
視聴完走できるか分かれるでしょうけど、

悪ノリと歌って踊るパートに慣れれば
本質については価値ある映画と思います。
世界的に評価が高いインド映画の1つ。


PK/ピーケイ
(PK,2014年/インド)


インドでテレビレポーターをするジャグーはある日地下鉄で、あらゆる宗教の飾りをつけてチラシを配る奇妙な男を見かける。チラシには「神様が行方不明」の文字。ネタになると踏んだジャグーは、“PK”と呼ばれるその男を取材することに。驚くほど世間の常識が一切通用しないPKの「神様はどこ??」という純粋な問いかけは、やがて大きな論争を巻き起こし始める。


「きっとうまくいく」のヒラニ監督と、
主演アーミル・カーンが再び組んだ作品、
「きっとうまくいく」より観る人を選ぶと
思いますけど…途中で脱落せず完走すれば
鑑賞後の余韻は悪くないはずです。

多くの日本人には挑戦的とも感じない
でしょうが、宗教慣習が生活に根付いた
文化圏では かなり挑戦的な問いでしょうね…



イエスマン “YES”は人生のパスワード
(Yes Man,2008年/アメリカ)


人生において常に「ノー」を連発してきた後ろ向きな男が生き方を変えようと決心し、どんなときでも「イエス」と言うルールを自分に課したことから騒動が巻き起こる。偶然知り合ったアリソンから好意を持たれるなど、運気を上げていくカールだったが……。


ジム・キャリー主演のコメディらしく
ブラックユーモアな箇所もありますが
(普通なら嫌がることも、ルールに従って
半分自棄で Yes!と行なっていくので)


それでも人生にYes!と言う姿勢こそ
人生を幸福に導くという本質について
面白おかしく考えるには良作でしょう。


最後に…

ティンカー・ベルと流れ星の伝説
(Tinker Bell and the Legend of the NeverBeast,2014年/アメリカ)


ある日、ピクシー・ホロウの妖精たちは緑に輝く彗星を見る。その後に森から大きな吠え声が響いた。気になった妖精フォーンは、森の中で見たこともない大きな怪獣を発見する。好奇心いっぱいのフォーンは、外見は怖いがおとなしい怪獣を毎日観察し、‘グラフ’と名付けて少しずつ距離を縮めていく。しかし、ピクシー・ホロウの平和を守っている護りの妖精ニックスは古い資料からグラフそっくりの怪獣の絵を見つける。そこには“緑の彗星が現れる度、ネバービーストという怪獣が目覚め、ピクシー・ホロウを焼き尽くす“という言い伝えが記されていた。


ディズニー「ティンカー・ベル」シリーズの
第6作で最終章。興行収益が見込めれば再開も
あるでしょうけど 第7作は制作中止になって
打ち切りエンド?今作がとりあえず最終回に。

といっても第5作の興行成績による判断なので、
この第6章は素直に素晴らしい作品です。
ディズニー映画らしく 親子で観ても…いや
むしろ親御さんの方が感動する気がしますね。

涙する理由が 幼い子ども達には
ちょっと分かりにくいというか…
まあ 未見の方はご覧になって下さい。


・・と長い割には全く「内容」が無くて
驚愕ですけど、ネタバレは宜しくない作品が
多かったので 紹介列挙のみになりました。。

私と直接お話する機会のあるお方は
感想なりご質問なりを下されば!
考察のお手伝いはできると思います。


そんな感じで、映画のお話 #5でした。
いつもありがとうございます!


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2018年09月17日

映画のお話 #4


皆さま、こんにちは。

今月は16日前後にもう1度更新できれば・・
と申しておりましたので、久々の月2回目
更新は 映画のお話に致します。

映画のお話 #4ということで、やっと4回?
という気もしますし、4回も書いたのか!
という気も同じくらいしますね…。

今回も、個人的に良かったと思う映画のうち
色々と考えさせられる 作品について。
(「ラルースの塔」で挙げて問題ない範疇で)



アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場
(Eye in the Sky,2015年/イギリス)


戦地から遠く離れた会議室でドローンが映し出す
映像を見ながら戦争に加担する人々の葛藤を描き、
現代の戦争の闇を浮き彫りにした軍事サスペンス。

大規模な自爆テロ計画の存在を突き止めた彼らは、
ドローンによる攻撃命令を下すが、殺傷圏内に
幼い少女がいることが判明。少女を犠牲にして
テロリスト殺害を優先すべきか否か……。

現代の戦争は、ひと昔のような人海戦術で
押し切るようなことはなく、ボタン一つで
致命的惨劇を簡単に起こすことができます。
(もちろん先進国においては攻撃実行手続は
最高責任者の裁可が必要とされていますが)


上空数千メートルからテロリストの行動を監視し、
ヘルファイアミサイルで隠密裏に敵を殲滅する
無人攻撃機ドローン。

直接反撃を受ける恐怖がないため
まるでゲームのように標的を的確に
破壊殺傷する。自軍の人的被害なくして
敵を鎮圧できるのは称賛されるべき
でしょう、戦争技術の進歩としては。

反撃・反抗する意思さえ持てない程の
戦力差で軍事的圧力をかけることにより
再燃を抑止するという構図は理解できます。

ただ、多くは「戦争」というよりは
一方的な蹂躙・虐殺だったりしますので、
宗教的信念なりを足蹴にされた者には
死を対価にしても一矢報いる!という
覚悟をより一層抱かせることになります…

まあ、戦争・紛争がなくなると困る層に
とって、全て想定内・予定調和と思いますが
その予定調和のバランスもかなり複雑精妙に
なっているので、いつ傾いてもおかしくない。

題名の「アイ・イン・ザ・スカイ」は
空のドローン・カメラを意味するだけでなく
空の目="神の目"という暗喩でもあります。

ドローン攻撃を中断して少女を救うべきか、
自爆テロを事前抑止して多くの一般市民を救うか、
この究極の問いに人間は答えることはできない。
いわば"神"のみ下せる裁可について、
人間が"神のように裁く"ことの是非。


ただ、そんなの「許される訳がない!」と
理想論で喚く資格は大多数人にないのが悲劇…。



奇跡の絆
(Same Kind of Different as Me,2017年/アメリカ)


実話に基づく、資産家とホームレスの
出会い・友情を描いた小説の映画化。

美術商として成功を収めたロンは、不倫を
妻デビーに知られ、罰としてホームレスに
給仕するボランティアに同行することに。
そこで出会ったホームレス・デンバーと
交流を深めていくロン(の家族)のお話。

キリスト教的価値観に基づくお話で
多分に"スピリチュアル"な作品ですけど
(映画としては退屈な演出もあります)
実話ということで考えさせられます。

邦題は「奇跡の絆」ですが、原題は
"Same Kind of Different as Me"

私と同じ類の 異なった(人)?
私と同じように違った類の(人)?
…と 一義的な訳出は難しいです。

私と他者は各々違っているけれど
それは等しく違っていて…天の下では
皆「違っているという点では同じ」。

人と異なっているのは間違いではない、
けれど異種・異様を怖れ排斥してきたのが
人類の歴史でした。この実話の方々のように
異種異様を「同じ」と受け入れる寛容さを
多くの人が持ち合わせられたらと思います。


この2作品とも、現実世界が舞台、かつ
宗教的視点にポイントがありますが、
キリスト教を考えるという意味で
ストレートに扱った作品を挙げてみますと。。


パッション
(The Passion of the Christ,2004年/アメリカ)


新約聖書 〜イエスと二人のマリア〜
(MARIA DI NAZARET,2012年/ドイツ・イタリア)


サン オブ ゴッド
(Son of God,2014年/アメリカ)


この3作品は観て良かったと思います。
もちろん正史教義と異なる脚色・解釈や
批判されている描写もあったりしますが
それを含めて多面的に考え得るなら有益です。

「パッション」=キリストの受難。

ちなみに"パッションフルーツ"は
"情熱の果物"ではありません。
時計草の花がまるで十字架に見えた為に
パッションフラワーと名付けられました。
その果実なので "受難の果物"です。


…と、ムダに長くなりましたね。。
やや深刻な作品ばかりでしたので、
最後は楽しい雰囲気の作品を。


マジック・イン・ムーンライト
(Magic in the Moonlight,2014年/イギリス・アメリカ)


監督ウッディ・アレンが1920年代の南仏を
舞台に描くロマンティックコメディ。

マジシャンのスタンリーは皮肉屋の毒舌家、
魔法や超能力など存在しないと信じる彼は
噂の占い師ソフィのペテンを見抜いてやろうと
自信満々で乗り込むも、彼女の透視能力を
目の当たりにして価値観を揺さぶられ、
さらには性格も良い彼女に惚れてしまうが…

…と、普通に楽しめる作品なのですが、
結構奥深い要素もあるのが秀逸です。

ハリー・フーディーニ(1874-1926)は
サイキックハンターとしても有名な
天才手品師で、霊媒師マージェリー・
クランドン (1888–1941)との"対決"が
脚本の実話モデルとなっています。

「オカルト」と「マジック」といった、
お互いに相容れないと思っている存在を
人間として互いに認めながら融合していく
というのは、ある意味"王道"ですけど。

原題は"Magic in the Moonlight"

これから24日夜にかけて月は満ちていきます。
月光の下で「魔法」と言うべきような
素晴らしい日々を享受下さいますように。

ちょっと纏まりに欠けますが、
もうタイムリミットなのでこの辺で。

いつもありがとうございます!


posted by laluz at 23:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 書物・映画etc..

2018年04月17日

映画のお話 #3



皆さま、こんにちは。

今月は16日前後にもう1度更新できれば…
と申しましたが、既に18日に変わりそう…
というタイミングで更新しておきます。

久々の第2回目更新も 映画のお話に致します。

今回は、個人的に良かったと思う映画のうち
(内容的に「楽しい」お話ではないですが)
少し 考えさせられる 作品について。
(「ラルースの塔」で挙げて問題ない範疇で)



スポットライト 世紀のスクープ
(Spotlight,2015年/アメリカ)


The Boston Globe 紙の記者達が、カトリック
教会の児童への性的虐待事件を暴いた、実話を
基に描いた問題作。聖職者と言っても人間なので
抑圧された欲望に流されることもあるのでしょう…。

歴史上、被害者が社会的弱者の場合、多くは
明るみに出ないどころか、むしろ被害者側が
虚言妄言と罵られ迫害されてきました。

組織の不正(ごく一部の者に限られるとしても)
を正そうと尽力する人々には敬意を表します。
もちろん「全てが明るみになること」が
常に望ましいこととは限りませんけれど。



スノーデン(Snowden,2016年/アメリカ)

アメリカ政府による国際的な個人情報監視の
事実を暴き世界を震撼させた2013年6月
「スノーデン事件」の全貌に迫る問題作。

ご存じの方も多いかと思いますけれど
初耳という方は調べてみると良いでしょう。
ネット社会である以上「全て監視可能」と
いう前提で行動すべきが当然と思いますが…

そういう現代システムを教わる機会は
一般的に多いとは言えない現状なので、
知的生活を送っていくならば最低限は
把握しておいた方が良いかもしれません。


ただ、リークされた事実が「真実」か否か
真実を隠すためのリークという手もあるので
その辺りは大局的に「大いなる一手」を
深く読み解く知力が不可欠です。

どんな情報でもすぐに鵜呑みにせず
しっかりと精査する知性が無ければ
結局のところ疑心暗鬼になったまま
考えることを放棄することに陥りますし。

とはいえ、なかなか難しい状況です
覇権を取られた中で局面を打開するのは。
国家主導権を立て直すという大義の為に、
現世の国民の生活・利益を根底から
揺るがせるかと問えば、人間の生は
短いので、賛同は得にくいでしょうから。



リミットレス(LIMITLESS ,2011年/アメリカ)

脳を100パーセント活性化させる新薬を
手に入れた男の運命を描くサスペンス。
認識・記憶・学習能力は飛躍的になり、
現状を瞬時に分析・把握し、計算に基づき
近未来を確知できるほどの知能を獲得。。

まあ、ありがち設定と言えばそうですけど。
映画としての展開はなかなか面白いです。

現代社会では「スマートドラッグ」として
知的能力の向上を意図して服用する人が
増えていることも驚くことではありません。

これは、脳の神経伝達物質、神経化学物質の
供給増加、酸素供給量の向上、神経の成長促進
等によって認知能力の向上に働くとされています。

今はどうか分かりませんけど、ハーバード大では
スマートドラッグを服用していない方が少数とする
データが挙がったりして広まったように感じます。

ハーバードでもそうなら…という感じかどうか
日本でも東大生や、東大を目指す受験生の間で
スマートドラッグ服用の話を耳にしたりしました。

真に知能が高い人には全く以て不要ですけど
才能・知能の差を感じる層には精神安定に
なるのかもしれませんね・・うーん。。

ただ、小中学生が服用する例も多かった点
副作用が懸念される一部の品目については
日本への個人輸入が今年から原則禁止に。
規制されて困る人もいるようですけれど。

過去にも「脳の使い方」や「知能・IQ」の
記事で 色々(長々)と述べてきました通り
「頭が良くなりたいと思っているうちは
そうならない」という理に気づく方が大切。




あまくない砂糖の話
(THAT SUGAR FILM,2016年/オーストラリア)


監督デイモン・ガモー自らが実験台となり、
「人は1日平均スプーン40杯分の砂糖を摂取」
している事実を検証するドキュメンタリー。

60日間ジュースやシリアルなどから砂糖を摂り
(カロリー総量は変えず)自らの体調変化を
観察していく、というお話です。

とりあえず「糖質」全般ではなく「砂糖」
スプーン40杯分=160gを摂取しているので
日本人一般には「そりゃ不健康になるよ…」
と思わざるを得ない砂糖量なのですけど。

というか極少食ライフの私からすると
拷問のようにしか見えませんでしたが、
糖分中毒になると快楽なんでしょうね・・


鑑賞ポイントはそこではなく、健康に
良くないとしても売上にダメージが
あるなら公にしようとはしない企業側の
圧力や伝統食の変容・衰退という面まで
検証を入れる姿勢は 賞賛に値します。


…と、まだ続く予定で用意していましたが
既に予定以上の文字量になりましたので
今回はこの辺で終わります。


まとめますと、日常生活においても
隠されている真実は多々あるので、

柔軟な視点・広い視野をもって
「大切なこと」を見失わないように
日々知性を磨いて参りましょう…
といったところでしょうか。


以上、3回目の「映画のお話」でした。
ご訪問ありがとうございます。

posted by laluz at 23:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 書物・映画etc..

2017年12月17日

映画のお話 #2


皆さま、こんにちは。

12月も15日前後にもう1度更新できれば…
と申しておりましたので、2回目の更新を。

*17日14時過ぎに一応UPしましたけど
適宜に加筆修正すると思います。。


11月第2回目の更新は、映画のお話でしたので
12月第2回目もその続きに致しましょう。


前回同様、個人的に良かったと思う映画を
今回はSF(Science Fiction)のジャンルから。
(「ラルースの塔」で挙げて問題ない範疇で)

宇宙が舞台で考えさせられる映画として・・


インターステラー
(Interstellar,2014年/アメリカ)


地球外の居住可能惑星の探索を行うため惑星間航行
(インター・ステラー)する宇宙飛行士のお話。

特殊相対性理論、特異点など宇宙物理学からも
矛盾が無いよう科学的考証が行われています。
170分とやや長編ですが、深く思考実験する題材
として興味深いですし、普通にSF映画として
観る価値ある良作です。ただ集中力は要します。


オデッセイ(The Martian,2015年/アメリカ)

火星探査中の緊急事態で一人置去りにされた宇宙飛行士
の命をかけたお話。この作品でも科学的正確性は
追求されていましたが、冒頭の事故に科学的間違いが
あることがのちに判明…。その間違いを学びつつ
マット・デイモンの演技を鑑賞するのが良いかと。


ゼロ・グラビティ(Gravity,2013年/アメリカ)

想定外の事故によってスペースシャトルが大破し
宇宙空間に放り出されてしまった宇宙飛行士と
科学者のサバイバルを描く作品。先端技術で
「宇宙の恐怖」を疑似体感できる点でも話題に。
「重力」と「命」を再認識させてくれる秀作。


・・「宇宙」がテーマの名作は多々ありますが
「人工知能/時間遡行」も良作が多くあります。


トランセンデンス(Transcendence,2014年/アメリカ)

人類の未来のため、意識をもったスーパーコンピューターを
研究開発している科学者が死亡後も人工知能として存続し、
過度に高度化した科学技術がもたらす危機を描く作品。

…と、こんな感じで紹介されるのですけど「科学技術の
もたらす危機」であって「人工知能のもたらす危機」
ではないんですよ。よく観て考えると深い作品です。

時間の制限やらで説明不足の部分も多いでしょうが
(というか2回目を観ないと分からないかも?)
Transcendence=超越(?)という意味を考え
それを補いつつ読み解くと得られる何かがあります。


her/世界でひとつの彼女(Her,2013年/アメリカ)

人間女性より魅力的な「人工知能型OSサマンサ」と
彼女(?)に惹かれる主人公の恋愛(?)を描く作品。

直接的な対人関係は面倒なことが多く、仮想現実の
相手の方が気楽だと思われる世界は現実化しつつ
あります。VR(仮想現実)上の相手と結婚式を
挙げる御仁もおられる昨今ですからね。

性差を超えた同性婚も許容されつつある現代、
「心」を通わせていることが至上なら
「肉体」の有無は問題ないのでは?と、
そんな議論も普通に起こり得る時代です。

ただ、「愛する他者の喪失」というのは
肉体の有無で差異は無いんですよね。やはり
離別を苦しむのが人間。愛とは何か?を
現代的状況から繊細に描く秀作と思います。


ウォーリー(WALL-E,2008年/アメリカ)

ピクサー&ディズニーのCGアニメ映画。
西暦2700年の荒廃した地球と宇宙を舞台に、
独りぼっちで地球に残されたゴミ処理ロボット
WALL・E(ウォーリー)の恋と冒険のお話。
「人工知能」との闘いと言えなくもない…

ディズニー映画で最も好きな作品ですね。
名作です。ほとんど会話がないのですけど、
仕草で意図が伝わるというか…温かいです。

「肉体」を超えた「愛」ということで。



トランス・ワールド
(ENTER NOWHERE,2011年/アメリカ)


森の中に迷い込んだ3人の見知らぬ男女を待ち受ける
奇妙な運命を描いたサスペンスミステリー。
ジャンルとしては「時間遡行・転移」…かな?

書くとネタバレになるので控えますが
先の読めない展開で引き込まれます、
隠れた名作じゃないでしょうか。

この作品については邦訳も秀逸ですけど、
ENTER NOWHEREの原題も是非考えつつ。


バタフライ・エフェクト
(The Butterfly Effect,2004年/アメリカ)


butterfly effect=バタフライ効果とは、
蝶の羽ばたきが、遠地の竜巻を引き起こし得るか?
という命題で有名ですが、力学系の状態に"変化"を
与えると、その変化がごく僅かであったとしても
その後の系の状態は 変化 が加わらない場合と
大きく異なってしまうという カオス理論上の用語。

この「バタフライ効果」を題材とした作品ですが
過去に戻って現在、未来の出来事を変えることが
出来る主人公の 愛と苦悩を描いたSFスリラー。

もう13年前の作品になりますけれど、
当時は先進的なテーマだったと思います。
実際にこの映画から派生的に考えられたものも
多いはず。評価も高く 名作の一つでしょう。

ただ、高評価だと思って観ると肩透かし
かもしれません、じっくり考えながら
消化していくことで滋味深いというか。




…と、ご紹介に値する作品はまだまだ沢山
ありますけれど、今回はこの辺で。

それでは、久々の月2回目更新でした。
いつもご訪問ありがとうございます!

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2017年11月18日

「映画」のお話


皆さま、こんにちは。

11月は半ば頃にもう1度記事更新します
と申しておりましたけれど既に18日午後…。

当初予定より遅くなってしまいましたので
16日以降チェックして下さった方には
申し訳なく思います。お待たせしましたが
11月第2回目の更新は、映画論のようなものを。

「名言の英語」でボードレール(baudelaire)を
取り上げる構想でしたが、ちょっとまとまり悪く、
なんとなくピンと来ない出来だったので熟成中です。

もう少し寝かせてみて、読むに耐えられるものに
なれば、改めて載せようかなと思います。


さて、以前にも少し触れたかもしれませんが
映画はそこそこ観る方です。年に100本くらい。
多くはないけど少なくもない…微妙な数ですね。

今までには?と問われたら分かりませんけど
1000本は観ていると思います、ここ4年の
鑑賞リストだけでも400本弱はあったので。

玄人的評価が高いものは一応目を通すように
していますが、逆にあまりメジャーな作品は
観ていないことも多々あります。

というわけで、今回は個人的に良かったと
思う映画を(「ラルースの塔」で取り上げて
問題ない範疇で)
取り挙げてみようと思います。


まずは、無難に数学者を取り上げたものから。


奇蹟がくれた数式(The Man Who Knew Infinity,
 2015年/イギリス)


インドの数学者シュリニヴァーサ・ラマヌジャンの
史実に基づいた映画。天才数学者としての苦悩・
差別などにはあまり深く立ち入っていませんが、
(長々描写して冗長になったり退屈になるよりは)
良い意味であっさりとまとまっている良作です。


イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密
(The Imitation Game, 2014年/アメリカ)


第二次世界大戦中にナチスドイツが用いていた
「エニグマ」暗号の解読に取り組み、戦局打開に寄与した
イギリスの暗号解読者アラン・チューリングを描いた映画。
同性愛者としての苦悩も含め、 B・カンバーバッチの
演技は秀逸。TV映画版『ホーキング(2004)』もお薦め。



・・まだまだ沢山ありますが、少しずつテーマを
変えて行くことにしましょう。ほのぼの系で、
あまり有名ではないものを挙げてみますと。


氷の上のふたり (MIDNIGHT SUN,
2014年/カナダ・イタリア)


納屋に迷い込んだ子グマを母グマのもとに帰すため
奮闘する少年のお話。極寒の地の中での温かさが
光るハートウォーミングな作品。映像もキレイで
北極圏での撮影大変だったろうなぁと感心します。
「深み」はないけど、子シロクマが可愛いです。


こねこ (THE KITTEN, 1996年/ロシア)

子猫と家族の触れ合いをハラハラほのぼのと
描いた猫映画。ネコ好きなら観るべきと言われる
隠れた名作ですけど…あまりに名演技過ぎて
過度な演技指導されてなかったか心配なくらい。
(まあネコ好きじゃないとあの映画は撮れないし
 その辺りは大丈夫だと思います)。

主役子猫のチグラーシャが可愛いです。


アップルとわたしのカラフルな世界
(APPLE OF MY EYE, 2017年/アメリカ)


乗馬中の転倒事故で視力を失った少女が、
盲導馬に出会い、新たな人生を歩む姿を描く。
これだけで盛大なネタバレになったような…
それくらい「内容は浅い」のですけど、
ハートウォーミング映画としては良い作品。
盲導馬のアップルが可愛いです。

本当にハンデキャップを負ってしまった方や
ご家族にとっては、そんなに軽いものではない!
と思われるでしょうが…その苦悩を深く描写して
いない点、そこは苦悩を乗り越えて行く過程を
受け手側が加味する必要はもちろんあります。



・・まだまだ枚挙に暇ありませんが、
最後に、ラブストーリー的なものを。


ぼくとアールと彼女のさよなら
(Me and Earl and the Dying Girl,2015年/アメリカ)


映画オタクの男子高校生が余命僅かな同級生女子との
交流を通して成長していくお話(日本未公開?)。
年層によってはおバカな学生ノリは鬱陶しいかも。
学生の皆さんは観る価値があるでしょう。よくある
お涙頂戴的な話ではありませんが、かといって
重すぎず軽すぎず、深いと言えば深い良作。


世界一キライなあなたに(Me Before You,
2015年/アメリカ・イギリス)


障害者の自殺幇助・安楽死を扱った話題作。
ラブストーリーとしても秀逸ですが、幕引きに
ついて賛否両論があったのも理解できます。
アリがちな展開でないのが高評価な点かも?

この映画に限ったことではありませんが
邦題がヒドイことが多々ありまして
この作品も邦題と原題の乖離が激しいです…

「Me Before You」の意味を考えながら
鑑賞されると、より深く考察できるでしょう。


アデライン 100年目の恋
(The Age of Adaline,2015年/アメリカ)


29歳の美しさのまま100年以上生き続けた女性が
真実の愛を見出すまでを描くラブストーリー。

今回取り上げた映画の中では
最も一般受けしやすい映画でしょうか。

数あるラブストーリーの中でも秀作の一つ
に挙げられるものと個人的には思います。



…と、ご紹介に値する作品はまだまだ沢山
ありますけれど、今回はこの辺で。

映画批評ブログではないので…気が向けば
他の作品も挙げてみたいと思います。

(もっと複雑怪奇・難解を極めるような作品も
 脳に有用な範囲で、いつかご紹介できれば)



それでは、久々の月2回目更新でした。
いつもご訪問ありがとうございます!


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2013年11月06日

「 幽玄の花 」


皆さま、こんにちは。

「芸術の秋」という素晴らしい時候、
趣向溢れる催しが各所で在るもので、
先日『後楽能』に 足を運んで参りました。

岡山後楽園・能舞台における毎秋の恒例催事ですが、
金沢兼六園、水戸偕楽園とあわせ「日本三名園」の一で
しとしと雨の降る中の「能」は、趣も深く感じます。


1707年に建てられた能舞台は戦災で焼失しますが、
1958年(昭和33年)に再建され、昭和42年に
見所の栄唱の間などが復元されました。


n0.jpg

能舞台と見所は小庭を挟んだ半屋外と言えるので、
雨が降ると雨ごしに能を鑑賞することとなりますが、

悲しみの演目に際して、天も泣いている如く
気温や天候が 「幽玄の美」に 花を添えてくれます。

…件の 後楽能2013 の演目は、以下の通り。


・能 「鸚鵡小町 杖三段老女ノ舞

 西出明雄(シテ)福王和幸(ワキ)

・狂言「飛越」  茂山茂、田賀屋夙生

・能 「船弁慶 〜前後ノ替〜

 桑田貴志(前シテ)、観世喜正(後シテ)
 桑田潤之介(子方)福王知登(ワキ)、



凡そ 劇・舞台の類は、一期一会の交感であるとしても
その中でも「能」は格別に一期一会の舞台だと思います。

(今回のように雨天での公演と、夏の晴天時では
  響き方も、舞の趣も全く変わってくるでしょう。

 屋内能楽堂であっても基本的に昼夜連続公演など
 繰り返さないのが「能」。散る「花」の意趣を感じます。

 その意味でも、絢爛なミュージカルや 歌舞伎は
 浅学故に未だ「良さ」が分からない感じです…。)



さて「鸚鵡小町(おうむこまち)」は、平安前期
「六歌仙」の一人で才色兼備と名高い小野小町が、
老い落ちぶれて逢坂山の関寺辺りに隠れ暮した…
という謂れを題材にした 能の一つです。

(鸚鵡小町・通(かよい)小町・卒都婆(そとば)小町
 関寺小町・清水小町・草子洗小町・雨乞小町の
 計7曲を指して「七小町」と言われています。)


「鸚鵡小町」は舞われるのが比較的少ない演目ですが、
齢100歳にして老落した小野小町の元に新大納言行家が
陽成天皇の御詠を携え赴き、老小町は「ぞ」一文字のみ
差し替える鸚鵡返しで返歌をした…という内容です。


雲の上は ありし昔にかはらねど 見し玉だれの 内やゆかしき

(宮中は、昔と何ら変わりないけれども、
 以前に見ていた御簾の中が見たいでしょうか?)


雲の上は ありし昔にかはらねど 見し玉だれの 内ぞゆかしき

(宮中は、昔と何ら変わりないけれども、
 以前に見ていた御簾の中が見たいものです。)


疑問の「や」を、強調の「ぞ」に変えて、
「見たいか?」の問いに「見たいです」と答えた次第。

(この「鸚鵡返し」の出典は、『十訓抄』で
 藤原成範(しげのり)が、流罪を許されて
 京都に戻った際、上記返歌をしたという話です。)



「それ 歌は三十一字を連ねてだに 心の足らぬ歌もあるに。
 一字の返歌と申す事。これも狂気の故やらん。」


31文字を連ねてさえ 心を伝えるには足らないことも
多いのに、一文字だけの返歌とは…狂気に落ちた故か?!

…とまで言われますが、その1文字で小町の心は
伝えることが出来てしまう悲哀の心境や如何に。

見たいと言っても、以前の美しさも失われた今では
宮中に戻ることもできずに、在原業平が玉津島明神で
舞った法楽の舞を、華の昔を思い出しつつ舞うのです。

ただ、若さに充ちた美貌はなく老醜化しても、
本来秘めた気品の舞は、幽玄な魅力を放ちます。



和歌の浦 汐満ちくれば 片男波(かたをなみ)
芦辺(あしべ)をさして 田鶴(たづ)鳴き渡る


(万葉集 巻六・919番)山部赤人の歌も引用されますし、
能 というものは知的に面白いことこの上なしです。

2013年は世阿弥生誕650年、観阿弥生誕680年という
節目の年でしたが、この崇高なる芸術・古典芸能は
確かに受け継がれて、本物は残っていくでしょう。


(「船弁慶」は著名な演目なので触れませんけれど。
 退屈な学校教育で古典嫌いに拍車をかけるよりは、
 能の1シーンを映像で観せる方が国益に適う気も…。)



『後楽能』の他、好事家を賑わせているアニメ映画
『(新編)叛逆の物語』を遅ればせながら観ました。

…非常に奥深く考えさせられる良作でした。
じっくり見ないと分からないので、2回3回と
繰り返し観に行かれる方が多いのも納得でしょうか。


一見、可愛らしいアニメ画なので、好きではない方には
全くもって興味の範疇外(或いは嫌悪の対象)でしょうが…
まあ、それは「能楽」についても同じことが言えます。

ただ、どういう表現形態であれ、本質的に深みある
芸術作品には、やはり心動かされるものです。

永遠に連環する悲劇のサイクルから唯一の親友まどかを
救うために果てなく抗うほむら(そして世界そのもの)を
苦しみの螺旋から救うために、全自己を犠牲にして
因果法則そのもの(「円環の理」)となったまどか。

神に近い概念となったまどかが再構築した新世界で
その因果を捻じ曲げるのは、絶望でも希望でもなく
「愛」そのもの。それが「善」か「悪」かは兎も角。


愛する人々を守り、救うために自己を犠牲にした時、
その世界においては自らは従前のようには存在しない」、
それは「本当に自分が望んだ結末」なのか??

まあ、何にせよ我が国では言うまでもなく海外でも
多角的視点で哲学的に解釈・議論されている作品、
現代的文学表現の秀でた在り方の一つと思います。。


世阿弥『風姿花伝(花伝第七・別紙口伝)』に曰く、

「因果の花を知ること 極めなるべし。一切みな因果なり。」

「この道を極め終りて見れば、花とて別にはなきものなり。
 奥義を極めて、よろづにめづらしき理をわれと知る
 ならでは、花はあるべからず。」


能楽論を超えて「人の道」としても含蓄がある書物と
「因果」あるいは「円環の理」などを考えていますと
夏に弛緩しきった知能に冴えが戻りそうな晩秋です。

(…やはり「能」のお話だけにしていた方が
 まとまりが良かった気もしますけれど、
 「因果」で繋がっているということで。)



いよいよ「立冬」です、「寒」さえ慈しまれ、
御心こそ温かくお過ごし下さいますように。

いつも ありがとうございます。



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2013年06月23日

『 火の鳥 』


皆さま、こんにちは。

「夏至」も既に過ぎ去りましたが、日本では
蒸し暑さを増して夏本番を迎える時期ですね?

23日20時32分にsuper moon(超月?)になりました、
次回super moonは2014年8月11日3時頃の予定。


(月は、地球を焦点とする楕円軌道上を動きますが、
地球との距離が最も近い「近地点」で満月となる時
「スーパームーン(super moon)」と言います。(


さて、月だけでなくおよそ地球生命の営みは
果てしなく「太陽の光」に左右されます。

焼けつくような日照りによる猛暑・干ばつだけでなく
磁気嵐・太陽フレアによる現代的影響もありましょう。


その太陽を神格化して敬うのも自然の成り行きです。
古代日本においても「天照大神」を通して太陽を敬い、
万物(八百万?)に対して敬意を払ってきました。



…と(長くなる前に)今回の本題に入りましょうか。

『火の鳥』:手塚治虫が亡くなる前年(1988年)まで約34年に
渡って書き続けられたライフワークと言うべき未完の傑作。


火の鳥は、永遠の命を持つ生命体(宇宙生命の具象)。

太古から超未来へ続く全ての時代を舞台にしながら
人類の興亡を見つめ続けてきた「火の鳥」の視点で、

いつの世でも変わらぬ「人間の生への執着」と
それに関連して起こる「様々な欲」との葛藤、

「限りある命」を精一杯に生きることの尊さ、
連環する生命そのものへの讃歌が壮大に描かれます。


「人間は虫よりも魚よりも 犬や猫や猿よりも長生きだわ。
 その一生のあいだに生きている喜びを見つけられれば、
 それが幸福じゃないの?(黎明編)」


「火の鳥」の血を飲めば、不老不死になれる伝説を
信じて足掻く若者に、火の鳥が語りかけた言葉。

虫たちは人間より短い一生の中で生を全うして死んでいく、
どうして人間は「与えられた今」を満足して生きないのか?

…という『火の鳥』の本質的メッセージの一つです。



「問題は永遠の生命を手に入れて……
 なぜ生きるのかということですよ(復活編)」


2482年、事故死したレオナは最新医療技術によって
脳の半分を人工頭脳にされ(人間的)死から復活します。


医学の進歩により人間の肉体的寿命は延びましたが、
どこまでをもって「治療」というのか??

新しい肉体に「脳」だけ移植して延命させること、
あるいは「記憶」をデータ化してロボット的構造体に
埋め込み、ある意味「記憶」だけで永遠に生きることが
可能になった時、それは「人間」という存在なのか?


「おねがいだ ぼくを人間かロボットか 
 どっちかにはっきりさせてくれっ!」

…とレオナは叫びますが、「なぜ生きるのか?」

それは「有限の生」が与えられた者だけが思う問い、
逆に言えばそれを問えることが「人間」の証明でしょうか。


「虫魚禽獣、死ねばどれもみんなおなじ!人が仏になるなら
 生きとし生けるものはみんな仏だ!(鳳凰編)』


数多くの人々を殺した報いを受けた後に、人の命、
生物の命の大切さに気付く主人公(我王)の言葉。

この「仏」という言葉の内実・定義については
センシティヴな問題ですので(「神」の定義と同じく)

このブログでは深く立ち入りませんけれど、
各々の感性あるいは世界観・宗教観において
じっくり再考されて見るのは有益でしょう。

(考えをまとめたレポートなど提出されるなら
 もちろんコメントを付したいと思います…。)



「なぜ機械のいうことなど聞いたのだ!
 なぜ人間が自分の頭で判断しなかった(未来編)」
 

西暦3404年から始まる「未来編」の世界では、
汚染された地上に住めなくなった人類は地下都市を作り、
コンピューターの計算を「絶対」としていましたが、

ある契機でコンピューターが戦争を決定したため、
3人の人間を残して、人類は滅亡してしまいます。
その生き残った1人、猿田博士の言葉。


計算処理においては現代でも既に、
人間はコンピュータに敵いません。

しかし、客観的データ・表層に現れない要素を
直観的に拾い上げて、臨機応変に微調整していくのは
およそコンピューターでは出来ない複雑な処理です。


「人間は常に合理的判断をするとは限らない」点
まで計算に入れたとしても、個々のミクロ視点と
社会・国家単位のマクロ視点での微調整は至難の業。

(…人間でも出来る人など僅かでしょうけれど)

少なくとも、決断の主体は「自ら」でなければ。
決断は責任を伴いますが、それでこそ「生」に緊張感が。


「今度の人類こそ きっとどこかで間違いに気がついて……
 生命を正しく使ってくれるようになるだろう(未来編)」


「未来編」では、人類は生まれては滅亡するという
サイクルを果てしなく繰り返しますが、その未来編の
最後を締めくくる「火の鳥」の荘厳な願い。

「生命の連環」「輪廻転生」の思想というものは
自身の信念からは相容れない方もおられるとしても、

遍く万物との繋がりを感じ、等しく慈しむことに
特別な障壁があるわけではないでしょう。



・・・と、のんびり書いているうちに
前回更新から10日経過してしまいました、

たった10日しか経っていないことに驚くくらい
有益かつ至高の日々を過ごさせて頂いています。

「与えられた時間を最上に用い、人の生を楽しむ」
これこそが「知力の核」にあるものと思いますが、

自分一人だけが楽しい人生を送るのではなく
自らの周りも健やかに輝かしく過ごせるように
臨機応変に諸事采配するのが「知力」の根幹。


(現在だけでなく、過去、未来の多くの生のために
 真理法則を追究する学問が広く尊ばれる理由も
 ここにありましょう。癌や難病根治の研究など…)


ミクロな視点では我々も不死鳥のように
組織的な死と再生を日々繰り返していますし、

(もちろんマクロな視点でも、人類は世代を
 継いで消滅と再生を繰り返しています。)


「火の鳥」のように雄大かつ優雅に、
 燃え盛る夏の日々を楽しんで参りましょう。


…ちょっとまとまりのない感じですけれど、
さらに長くなりそうなので、今回はこの辺で。

いつもご訪問下さり、ありがとうございます。


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