皆さま、こんにちは。
連休的なものが終わりましたが、
有意義な日々を過ごされたでしょうか。
一般的な暦で動いていないので、連休という概念は
個人的に馴染み薄いのですけれど、人出が多いという
現象から間接的に「黄金週間」の習慣を実感しますね。
雑踏を避け、連休的なものが一段落した頃に
アート的な散策をのんびり致しておりました。
今回のセットメニューは以下の通り(今回もリンクは張っていません…)。
「特別展 医は仁術」 国立科学博物館@上野
「石の世界と宮澤賢治」 〃
「法隆寺 祈りとかたち」 東京藝術大学美術館@上野
「バルテュス展」 東京都美術館@上野
「特別展 キトラ古墳壁画」 東京国立博物館本館@上野
「開山・栄西禅師800年遠忌特別展 栄西と建仁寺」〃平成館@上野
「こども展 名画にみるこどもと画家の絆 」 森アーツセンター@六本木
「燕子花図と藤花図」 根津美術館@南青山
「ルドルフ・シュタイナー展」 ワタリウム美術館@神宮前
「ポルディ・ペッツォーリ美術館 華麗なる貴族コレクション展」Bunkamura@渋谷
「企画展:糖尿病の真実」 東大医学部・健康と医学の博物館@本郷
「ジャコメッティとパリの版画展」 東大駒場博物館@駒場
・・・というアート内容です。
「ねこ・猫・ネコ」@松濤美術館
「富士と桜と春の花」@山種美術館
「大江戸と洛中」@江戸東京博物館
「オランダハーグ派展」@東郷青児美術館
「101年目のロバート・キャパ」@東京都写真美術館
…など見ておきたい企画展は他にもありましたけれど。
どの在り様でさえ趣深く、深い学びがありました。

貝原益軒『大和本草』1709年刊
近代日本史上最高の生物学書・農学書。

杉田玄白『解体新書』1774年刊
江戸の医から未来を眺める「医は仁術」展では
『解体新書』等の医学書古典から先端医療に至るまで
身分の貴賎なく万人に訪れ得る「病(死)」に対して
医学者や為政者が如何に世人を思い、立ち向かってきたか、
『「仁」とは "他を想う心" である。』と気付かされます。

根津美術館庭園の「燕子花(かきつばた)」
国宝・尾形光琳「燕子花図屏風」と、
庭園散策しながら優美な「カキツバタ」を
のんびりと味わえる、初夏の根津美術館。

約1,300年前のキトラ古墳壁画からiPS等最先端医学研究まで
短くも長い人世の営みの中、いつの世も変わらない、
「社会進化への献身」「子を思う親の慈愛」あるいは
「悲劇からの復興・復活への祈り」「生命への賛歌」。
全身全霊で「全き幸福を願い、平穏なる和を祈る」ことで
様々な材質・要素の中に「魂」が吹き込まれ「力」が宿ります。


46億年の「地球の営み」を刻む鉱物たち(@科学科学館)と
人工的な都市光彩の上に輝く半月光のコントラスト。
「思考するときの私たちは、光の中を生きている」 とは、
R.シュタイナーの言葉ですけれど、その真意を
少しずつ実感・実践できているように思います。
(彼の著作に初めて触れてから15年は経つので…
ようやく理解が及ぶようになれたかも知れません)
芸術との交響という観点では「料理」という総合芸術も
重要な位置づけとなりますが(医食同源と概ね言えますし)、
JG:Jean George tokyo の作品も趣深い味わいでした。
ニューヨークを拠点に世界的に有名なミシュラン3つ星シェフ
ジャン-ジョルジュ・ヴォンゲリスティン氏が今年3月12日に
日本初出店したフレンチレストラン:Jean George tokyo 。
アジア食文化に刺激を受けた"vibrant cuisine"
(活力溢れる料理)は、素材のエッセンスを引き出し
感動的な風味と躍動的な展開で魅了させてくれます。
今回の作品メニューはこちら(拡大表示されます)

全て必然のご縁でしょうが、ほぼ貸し切り状態の中、
私1人の為にスタッフの方々が眼前で調理・解説して下さり
劇場型レストランの真骨頂を独占堪能できたのは天恵です。
料理とは、食材に敬意を払い、無限の組合せの中から
各々の持ち味を引き出して交響させるという総合芸術。
そして、その作品は料理人の手だけで完結するのではなく
食する者の姿勢・意識・感覚のメンテナンスによって
その芸術性の行方が大きく左右されるものです。
食材と料理人への敬意を持って、五感覚(あるいは六感覚)を
研ぎ澄ませて味わうと、素晴らしい料理はより真価を発揮します。
正統フレンチではなく、アジアンテイストの創作フレンチなので
好みが分かれるところではありましょうが、スパイスが効いて
濃厚な「動・激」と、優雅で繊細な「静・優」のテイストの
織り込み方は、個人的にとても趣深いものでした。
コースの締めは、マリアージュ・フレールの燻製茶
「Empereur Chen-Nung(エンペラー・チェン・ヌン)」
「神農帝:Empereur Chen-Nung 」は、医と農を司り、
民の為に医薬についての調査をし、処方を集大成して
東洋医学の基礎を固めたとされています。
「医と仁術」展でも、西洋の医聖ヒポクラテスと並んで
東洋の医神として資料展示されておりましたけれど、
茶の起源においても伝説となっている人物です。
鉱物・植物・動物・人物・神霊物・不可知物、
それらを繋ぐ「祈り」「敬愛」の神聖な交響。
各々時代という時間軸上の立ち位置を超えて、
物質的構成の統一(あるいは限界)を解き外して
より荘厳な音脈の中で、自身と響き合う感覚。
単なる「鑑賞」ではなく「同化・交響」するとき
そこに在るのは、美醜・真贋・新旧という相対性を超えて
ただ「今、在り難きが在る」ことへの崇敬のみです。
「審美眼」など、もはや重要ではなくなってきますけれど
教養素地として様々な知見を育んで来れたのも関係諸子の
御厚意・御温情の故と日々実感するばかりです。
(特に紅茶の知見については、教養深く聡明なお母様方の
ご指導・ご手配の賜物に他なりません。。)
医師を目指して医学部に入られる生徒さんが必然的に多いですが
「自他を慈しむ心」を根本に抱いて、遍く必然と交響しながら
世を「癒す者」として進化して欲しいと願います。
久々に書いたので長くなりましたね…
今回はこの辺に致しましょう。
いつも本当にありがとうございます。