2012年05月02日

「ももたろう」


皆さま、こんにちは。

先日、生徒の子から興味深い質問を受けました。

新中1生で「干支(十干十二支)」を調べている時

「桃太郎のお供はなぜ、猿・雉・犬?
 干支の申・酉・戌と関係ある??」


という質問を。素晴らしい視点ですよね?

この子のお蔭でルービックキューブに興味を持ちましたし、

(その上位版のルービック・リベンジも試しました。
 その辺りの経緯については Rubik's Cube を)

なかなか知的なパスを投げてくれます。

私も幼い頃、疑問に思ったはずなのですが、
そこまで真剣に調べなかったんでしょうね、

というより調べても「詳細は分からない」ので。

とはいえ「自分で少し調べれば分かる問題」を
一々尋ねられるのはどうかと思いますけれど、

自分で調べて分からない難問を教育者に聞く
というのは「学習の根幹」そのものですので、

私も相応の礼をもって応えねばなりません。



そもそも「ももたろう」に限らず、童話・昔話は
神話や古来の風習・伝承をその内奥に隠し持って
いることが往々にしてあります。


時代を経、子供向けにデフォルメされた形象の中に
在るべき姿を再現させるのは至難の業です。

それゆえ「ももたろう」についても各説があり、

桃太郎の誕生に関しても、初期の伝承では
「桃を食べた老夫婦が若返って子供を産んだ」
とする場合が、実際に見られます。。

「桃」というのは古来より仙木・仙果とされ、
邪気を祓い不老長寿を与えるものと珍重されます。

『古事記』においても、伊弉諸尊(いざなぎのみこと)が
桃を投げつけて鬼女「黄泉醜女(よもつしこめ)」を
退散させた、という神話が残されています。


ただ、童話においては「桃から生まれた」方が
「かわいい」ので、それはそれで適切でしょう。

さて、「申・酉・戌」の関連ですが、
ただの「偶然の一致」とは思えません。。

鬼は「鬼門」の方角(北東=丑・寅(ウシトラ))から
来るという訳で、虎柄の衣に、牛の角があったりする
描写に、少なからず反映されているようですが、

その「鬼門」の鬼に対抗して、「裏鬼門」に位置する動物
(申(サル)、酉(キジ)、戌(イヌ))を率いた、
という解釈(曲亭馬琴「燕石雑志」)もあるようです。

しかし、北東=(艮・ウシトラ)の逆の方位に当たるのは、
申、酉、戌ではなく、南西=(坤・ヒツジサル)なので、
この解釈も十分な説得力には欠けるでしょう。


『吉備津神社縁起物語』によると、吉備津彦命が、
犬飼健命(いぬかいたけるのみこと)、楽々森彦命
(ささもりひこのみこと)、留玉臣命(とめたまおみの
みこと)という三人の家臣と共に、鬼ノ城に住む
「鬼」=温羅(うら)を倒したとされているようです。

この家臣たちの役職はそれぞれ「犬飼部」「猿飼部」
「鳥飼部」であったという一説からすれば、

それぞれの家臣が「犬飼健=犬」「楽々森彦=猿」
「留玉臣= 雉」という親しみやすい形に変容・
伝承していったという解釈は、説得力があります。


しかしながら、「桃太郎」伝承の発祥自体に争いもあり
岡山県以外でも同種の「桃太郎」伝説は残されています。

そうなると「犬飼部」「猿飼部」「鳥飼部」の
解釈も、根拠不十分ということになりましょう…。

この問題は、文化人類学・民俗学・日本神話研究
といった専門的分析が必要な、学術的課題なので、
私が片手間に即答できる性質のものではありません。

とはいえ、色々な解釈や伝承があるということを
改めて学べたというのは何よりの収穫です。


「陰陽五行」からの解釈もあるようですし、
その辺りも教養として深めておこうと思いますね。

興味深い質問をくれる生徒の子たちに
改めて感謝したいと思います。

以上、「テキスト・書評」カテゴリーに相応しいかは
わかりませんが、そんなところで今回は終わりましょう。


いつもありがとうございます。


posted by laluz at 15:00| Comment(0) | 書物・映画etc..
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