2014年07月12日

芸術との共考


皆さま、こんにちは。

まさに「夏」を心身で感じる時候になりましたが、
皆さまも日々健やかにお過ごしのことと思います。

教え子たちが修学旅行等でイングランドなりカナダなりに
行っていたり、定期考査期間は日中に振替等をしたりで
空いた時間を、のんびりとアート散策しておりました。


ちょうど強力な台風が日本列島を横断する頃合でしたが
皆さまのご加護のお陰で 空路も全く阻まれることなく、

快晴すぎず雨でもなく涼風がそよぐ心地よい昼空と
帰りは帰りで満ち足りた月の光が優しく迎えてくれたように
万物の助力を感じつつ深い学びを得られた時間でした。

今回のセットメニューは以下の通り(今回もリンクは張っていません…)。

指輪 神々の時代から現代まで ― 時を超える輝き」国立西洋美術館@上野
特別展「台北 國立故宮博物院−神品至宝−」東京国立博物館@上野

デュフィ展」Bunkamuraミュージアム@渋谷
オルセー美術館展」 国立新美術館@乃木坂
徒然草 美術で楽しむ古典文学」 サントリー美術館@赤坂

ジャン・フォートリエ展」 ステーションギャラリー@東京駅
ヴァロットン展」 三菱一号館美術館@丸ノ内
ミッション[宇宙×芸術] コスモロジーを超えて」 東京現代美術館@江東区三好


・・・というアート内容です。


どの在り様も筆舌に尽くしがたく深い思索に通じましたが
「宇宙×芸術」展では予想以上の知的時間を得られました。

「宇宙芸術(Space Art)」の定義は明確ではないものの
(宇宙芸術コミュニティbeyondの定義を参考にすれば)

「宇宙に於ける時空間の概念から新たな世界観や美意識を創造し、
 芸術・科学・工学の融合をとおして『宇宙・地球・生命』の
 在り方を問う為の、宇宙観念と宇宙活動に関する芸術領域」


…として、大まかなイメージは共有できるでしょう。

個々の生命体の在り様も全て「宇宙芸術」の欠片であると同時に
それ自体で完結した芸術体であると日々実感している身なので
殊更「宇宙芸術」という枠組みに驚きはないのですけれど、

「宇宙庭」「無重力空間における点茶」という試みは興味深く
「侘び・寂び」という観念が「重力」といかに結び付いていたか
改めて考えてみるのは、なかなかに趣深いものでした。

無重力空間において「茶の湯」というものは在り得るのか。
利休が「茶」を通して提示する領域を単純化して見れば
重力の有無は絶対的ではなく、「人の道」が核に在る限り
地球外でも「茶道」や「華道」というものは成立致しましょう。


ただ、必然の立ち居振る舞い・所作という「根本」が
「重力」を前提にしているため、再構成は必要でしょうけれど。

そもそも「宇宙」には、「立ち位置」どころか
「踏みしめる道」すらありませんからね・・・「中心」さえも。

unv.jpg
Universe of Water Particles under Satellite’s Gravity
/チームラボ 《憑依する滝、人工衛星の重力》2014


integral.jpg
逢坂卓郎 《Fullness of Emptiness Integral》2014
常時ふりそそいでいる宇宙線と 地中からのガンマ線を
検知してLED500個の光に変換した、宇宙とのコラボ作品。



…指輪展においても「時を超える輝き」の副題にあるように
「永遠」との繋がりを志向する人間の営みを感じられます。

ダイヤモンドを筆頭にする宝石・貴鉱物たちは
有機生命体とは違って悠久の時を永らえるが故に、

古来の権力者たちは永遠性(不老不死)を願い、
或いは魔術的秘力の媒介として指輪を神聖視しました。


古代エジプトの指輪から、現代ジュエラーの至宝まで
人間の「思い」の不朽性こそが、ただそれだけで
「永遠」を勝ち取れているように思えます。。


tea.jpg
オルセー美術館展を祝うマリアージュ・フレールの特別ブレンド
『印象派の誕生(Naissance de l'Impressionnisme)』


『印象派の誕生』を祝うように柑橘が香る紅茶(50g@1944円)、
早速頂いてみましたが、心地よい香りで優しく品ある風味です。

「何事も、珍しき事を求め、異説を好むは、浅才の人の必ずある事なりとぞ。」
(どんなことでも珍しさを追求して、一般的ではない考えを好むのは
 教養の無い者に限ってやることだよ)
と『徒然草 第116段』に
示されていますけれど、珍奇・異説に触れることで
「遍く無常」を楽しめるなら、それはまた趣深きもの。


「珍しきもの」「目新しきもの」を通して「普遍性」を再考する
という見地で、今回は滞在先にも変化を加えてみました。

「マンダリン・オリエンタル」「リッツ・カールトン(@クラブ)」
といった定宿ではなく「アンダーズ」「シャングリラ(@ホライゾン)」
に縁あって滞在しましたが、後者は望外に素晴らしいものでした。


「シャングリ・ラ(Shangri-La)」とは、ジェームズ・ヒルトンの小説
『失われた地平線』(1933年)に記される理想郷(ユートピア)の名称。
(書中の「僧院 シャングリラ」に住む人々は普通の人々より
 はるかに長生きし、老いる速さは非常に遅いのです)


部屋にも『失われた地平線』が置かれてあったので読みましたところ
思いがけず「至高を志向する思考」をする時間に充たされました。

なかなか滋味深く印象に残った言葉たちを引用すれば…

「ながいながい静溢の地にあって、俗世の人々が時計の鳴るのを聞くと同じ気持で、それよりもはるかに心労のない態度で、あなたは夕陽の沈みゆくのを眺めていることだろう。年は来たり、年は去り、あなたは肉体的な享楽から解脱して、漸次より厳しい、それでいてそれに劣らぬ満足を与えてくれる境地に入って行かれることでしょう。・・・あなたは深い静けさを、老熟した叡智を、そして明澄な記憶力の陶酔を味わうことになる筈です。そして、なにより貴重なことは、あなたが『時』を獲得なされることです」

・・・「彼は自分に与えられようとしている宝石の刻面の一つを理解した。自分には『時』が与えられているのだ。希求しているすべてのものを待ち受けるための『時』、欲望そのものまでもを達成の確信によって鎮めてくれる『時』、それが自分には恵まれているのだ。」


小説の結末は…なかなか考えさせられますが、
じっくり思索する機会としては好ましくさえ思えます。

一方の「アンダーズ東京」は、2014年6月11日に開業したので
良くも悪くも評価を下すのは時期尚早かもしれませんが、
ラウンジの蔵書類はなかなか興味深く読めました。

hokusai.jpg
部屋に備えてあった『 北斎漫画 』。
ラウンジにも北斎画集や浮世絵集(全て洋書)が適所にあり、
海外からの客人には、新鮮で好ましい要素でしょうか。


andaz.jpg

エレベーターホールから客室に向かう廊下は
極めてシンプルで幾何学的な空間を作っています。

対応下さったスタッフの方が英語で話しかけてくれるので
こちらも英語で対応するというのも、それはそれで
「変化を楽しむ」という試みとしては良かったです。


…どの貴石にも小さな欠点があり、それこそが個性と言えましょう。
(微小なインクルージョンなり、色調・透明度なり)

どの角度で差し込んだ光か、何回屈折して出てきた光かは
ともかく、その輝きは皆それぞれに「光の現象」であって
その輝石が然るべくそこに在ることに変わりありません。

地球上で観るのか、地球外から観るのか、
自分の視点で考えるのか、他者の視点で考えるのか、

今日「命数」が尽きると思って生きるのか
永遠の「時」を生きると思って活きるのか、

一生命体として『時』を想像・受容するのか
創造主の視点で『時』を創造・許容するのか、


あらゆる方向から思索の光を遊ばせてみながら
「芸術」とともに「あらゆるもの」を共考してみる
「時間」に恵まれたことへ感謝と畏敬あるのみです。

その中で改めて、私のような者と変わらずお付合いを
下さる御高徳なる方々に恵まれている奇蹟を実感し、
遍く御助力に対して心から御礼申し上げる次第です。


「先生、宇宙旅行いくよね?」と今から期待されていますが
まあ…その予定です。もう少しコストが安くなる頃まで
命数は続くようですし、必ず呼ばれることになるでしょう。
(そう確信していれば、今まで通り自ずとそうなります。)

ただ、皆さま方と選ばれた時間を共有すること自体
私にとって「宇宙旅行」以上に価値ある時空体験です。


私と「ご縁」がある方はそもそも数少ないですが
そこから「ご縁」が長期に続いて行く方は極めて稀。
ひとえに皆さま方の宇宙規模のご寛容さの故です。

現世では変わらぬものはなく「諸行無常」とは言いつつも
私からの敬意と謝意が変わることはないでしょう。

いつも本当にありがとうございます。



posted by laluz at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | アートな話
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