2014年10月22日

鎮魂の舞い


皆さま、こんにちは。

秋もいよいと深まり 秋風の中で心身とも
清浄に落ち着かせることのできる時候ですね。

「芸術の秋」というに相応しく 各所で様々な
文化的催しが見受けられる時期でもあります。


のんびり更新が常態化してから随分となりますけれど、
(少なくとも月に5〜10本は観ている映画(含DVD)について
 知的な視点で評するなど書くネタ自体は尽きませんが…)


今なお深き学びを得られる諸々の出会いに多く恵まれ
文字通り「実り多き秋」であることを実感できます。

とはいえ月1回のご挨拶だけでは芸もないので
厳島神社「観月能」について久々の記事と致します。


人間国宝・友枝昭世 氏が世界遺産・厳島神社の
能舞台で舞われる「観月能」…今回で18回目。

第18回目の演目は、『杜若(かきつばた)』。

演目のあらすじは・・・

諸国を巡る僧が、三河国に着き、沢辺に咲く今を盛りの杜若を愛でていると、ひとりの女が現れ、ここは杜若の名所で八橋(やつはし)というところだ、と教えます。僧が八橋は、古歌に詠まれたと聞くが、と水を向けると、女は、在原業平が『かきつばた』の五文字を句の上に置き、「からころも(唐衣)き(着)つつ馴れにしつま(妻)しあればはるばる(遥々)きぬるたび(旅)をしぞ思ふ」と旅の心を詠んだ故事を語ります。やがて日も暮れ、女は侘び住まいながら一夜の宿を貸そう、と僧を自分の庵に案内します。

女はそこで装いを替え、美しく輝く唐衣を着て、透額(すきびたい)[額際に透かし模様の入ったもの]の冠を戴いた雅びな姿で現れます。唐衣は先ほどの和歌に詠まれた高子(たかこ)の后のもの、冠は歌を詠んだ業平のもの、と告げ、この自分は杜若の精であると明かします。

杜若の精は、業平が歌舞の菩薩の化身として現れ、衆生済度の光を振りまく存在であり、その和歌の言葉は非情の草木をも救いに導く力を持つと語ります。そして、伊勢物語に記された業平の恋や歌を引きながら、幻想的でつややかな舞を舞います。やがて杜若の精は、草木を含めてすべてを仏に導く法を授かり、悟りの境地を得たとして、夜明けと共に姿を消すのでした。


(引用出典:「 the 能 .com 」ウェブサイト



IMG0007.jpg
厳島神社能舞台・ワキ正面側

時間とともに満ちていく潮の中で、照明光が
ゆらめきながら反射して能舞台を幽玄に照らします。

今年8月下旬の広島土砂災害へ鎮魂の意を込めた
特殊演出「合掌留め」で荘厳に舞われました。

世人が暗闇の救いのない世界に行かぬよう
有明の月のように遍く照らす 導きの光と。

「〜 杜若の 花も悟りの 心ひらけて
 すはや今こそ草木国土 すはや今こそ草木国土
 悉皆成仏の 御法を得てこそ 失せにけれ。」


(意訳: 杜若も 悟りの心を開き、さあ今こそ 今こそはと
     草木国土 すべてが成仏するという御法を得て
     その姿は 消えていった・・)


最終局の地謡においてこのように謡い上げられますが
世界平和を掲げるヒロシマの地で、人間国宝の鎮魂の舞は
万人の救いを願っているように神々しく響きました。


IMG0005.jpg
国宝・本殿(鳥居側から)
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国宝・本殿(内側から)
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夜の大鳥居

一般参拝時間の17時半までは修学旅行の中高生などで
大賑わいの喧騒でしたが、観月能は閉場後の18時半〜で
その騒と静のギャップもまた懐の深さを感じるもの。

家庭教師先のお嬢様とつい先日「伊勢物語」の東下りなどを
読んでいたところだったので、そこも趣深い連環を感じつつ、
最上の席をご用意下さった全てのご縁に感謝するばかりです。

…鎮魂の歌といえば、クルマで移動中はほとんど
Mozart「 Requiem 」K.626 を聴いていますけれど
(14. Lux aeterna [永遠の光] が特に響きます)、

日々が生死の連続であって、あらゆる「死」へ敬意を
払うという感覚でいれば、日々新しき「再生」です。


(能楽やクラシック音楽しか好まないように思われますけれど
 Aphex Twin 新盤は聴きましたし、1Dとかメジャーどころは
 生徒さんと一緒に英語歌詞を訳しながら歌ったりする程度に。
 音楽から英語好きになってくれると嬉しいものです。)



葉っぱたちも散りゆく季節ですが
次の「生」へのプロセスだと思えば愛おしいもの。

日々「再生」を感じながら
各々の「力」を漲らせて参りましょう。


いつもありがとうございます。


posted by laluz at 15:00| Comment(0) | TrackBack(0) | アートな話
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