2019年11月17日

映画のお話 #6



皆さま、こんにちは。

9月以来の月2回目更新ですけど
今回は久々に映画のお話に致します。

(「名言の英語」にする予定でしたが
いまいち短く纏めきれなかったので)


映画のお話 #6 は昔の映画(20世紀後半)で
特に印象深かった作品は?と自問してみて
思い浮かんだ名作を挙げてみようと思います。

*「ラルースの塔」で挙げて問題ない範疇でといつも添えますが、これは名作であっても残酷・残虐・卑猥な描写が激しいものや前提知識がないとやや偏った印象になる…ある意味では「有害になりうる」ものはこのページではあえて挙げない趣旨です。

ただ、今回は考えさせられるというか
「楽しい」作風ではない(ものが多い)ので
小中学生には基本的にお薦め致しません。

設定上、目を背けたい描写もありますし。
精神性が高くなった時には一度観て
おくべき名作かなとは思いますけれど。



ショーシャンクの空に
(The Shawshank Redemption,1994年/アメリカ)


冤罪によって投獄された主人公が、腐敗した刑務所の中でも
希望を捨てずに生き抜いていくヒューマン・ドラマ。

「希望」という正にそれだけを
徹底的に描くための絶望状況というか。

Redemption=贖い(あがない)
鑑賞後この意味を考えてみると良いと思います。

間違いなく映画史に残る作品の一つながら…
興業的には成功とは言えなかったのも分かる気が。
気分転換に観るか〜という娯楽映画ではないですね。



グリーンマイル
(The Green Mile,1999年/アメリカ)


「ショーシャンクの空に」と同じく
原作スティーブン・キング&監督フランク・ダラボン。

大恐慌時代、死刑囚が収監されている刑務所を舞台に、
死刑囚と看守たちとの心の交流を描く中で
人間の本質と罪について考えさせられる作品。

全くハッピーエンドではないですけど
グルーンマイルの方が「解り易い」かも。

「グリーンマイル=監獄から電気椅子に
向かって続く 緑色の通路」のこと。

ネタバレなのでうっすらと書きますと…
奇蹟の力を持つ者が無実の罪で死刑に
なる結末だけ見ると納得できませんが
天に還ることを望んでいた面もあるので
冤罪だけ取り上げて批評するのはどうかなと。


イエス磔刑を想う方もおられるでしょうし
深く考えさせられる名作だと思います。



シンドラーのリスト
(Schindler's List,1993年/アメリカ)


第二次世界大戦時にドイツによるユダヤ人の組織的大量虐殺(ホロコースト)が東欧のドイツ占領地で進む中、ドイツ人実業家オスカー・シンドラーが1100人以上ものポーランド系ユダヤ人を自身が経営する軍需工場に必要な生産力だという名目で絶滅収容所送りを阻止し、その命を救った実話をスピルバーグ監督が映像化。

「東洋のシンドラー」などとも呼ばれる
杉原 千畝(ちうね)の業績も併せて
押さえておくことをお勧めしますね。。



十二人の怒れる男
(12 Angry Men,1957年/アメリカ)


父親殺しで起訴された18歳の少年の判決をめぐり、12人の陪審員のうち、1人だけが少年の無罪を主張する。審判には全員の一致が必要で、それまでは蒸し暑い部屋から出ることができない。果たして12人が出した結論とは?

全編白黒映像で、場所もほぼ陪審員室のみ。
脚本展開で引き込む密室劇の金字塔。

学生時代に指導教授との雑談で
『十二人の怒れる男』は観た方がいいよと
言われ、観たらなるほど…と感心して
そういう意味でも印象に残っていますね。


教授からのお薦め話という流れでは
当時ハーバード教授だったと思いますが
生命倫理の話から映画の話になって、
『GATTACA』観たことは?と言われて
その後で観たという点で同様に印象的。

ガタカ
(GATTACA,1997年/アメリカ)


遺伝子操作により管理された近未来。宇宙飛行士を夢見る青年ビンセントは、劣性の遺伝子のため希望の無い生活を送っていた。そんなある日、ビンセントは闇業者の手配により、事故により身障者となった優秀な遺伝子をもつ元エリート、ジェロームに成りすます偽装の契約を結ぶ。そうして、ジェロームの遺伝子を借りてエリートとなったビンセントは、宇宙飛行施設“ガタカ”に潜り込む…。

題名はDNA塩基 guanine(グアニン)、adenine(アデニン)、thymine(チミン)、cytosine(シトシン)の頭文字に由来。

Consider God's handiwork, who can straighten what He hath made crooked?
(「神の御業を見よ。神が曲げたものを誰が直しえようか」『伝道の書』7:13

…と、生命倫理を考える教材としては
成程と思いますが、惜しい面もあるので
好みが分かれる所でしょうか。



カッコーの巣の上で
(One Flew Over the Cuckoo's Nest,1975年/アメリカ)


精神異常を装って刑務所での強制労働を逃れた男マクマーフィーが、精神病院から自由を勝ちとろうと試みるストーリー。管理主義的な看護婦長に反抗し、病院のルールを片っ端から破っていく主人公に、他の患者は当初困惑していましたが、次第に同じく自由を望むようになっていきます。

映画史に残る名作の一つですけど
すごく悲しい物語と評するに尽きます。
物語というか実際に近いような虐待が
50年ほど前まであったのが驚きです。

One Flew Over the Cuckoo's Nestは
マザーグースの詩に由来しますが
cuckoo's nestは「精神病棟」を
暗に示す蔑称ともなります。

今では飛躍的に患者の尊厳・環境改善が
進んでいるものの、当時は人権など皆無で
ロボトミー(大脳前頭葉切除)手術や
電気ショック措置などが科学的に有効と
評価されていました(日本でも)。

ジョンF・ケネディの妹君ローズマリーも
知的障碍を主因にロボトミー手術を施され
廃人同然となりました。発覚後批判を受け
ケネディ大統領は精神病棟の状況改善に関する
大統領教書を示しますが、大統領暗殺により
隔離政策の改善は後退することになります…。


…と、人間としての尊厳という点から
深く考えさせられる(大人向きの)偉作です。



ベン・ハー
(Ben-Hur,1959年/アメリカ)


イエスの誕生に始まって磔刑に終わる救世主の
裏側(というか並行)で進む主人公ベン・ハーの物語。
2016年にもリメイクされています。


…と、そこそこに抑えないと
いくらでも長く長くなるので
今回はこの辺りで終わります。


レインマン (1988年)
レナードの朝 (1990年)
…辺りも、印象深い名作ですね。

中学〜大学生時に観た名作など
もう一度見返したいなぁと思いますが
最近の映画もチェックしておくべきで
なかなか手が(目が?)回りません。。

電子書籍もかなりのペースで
目を通しているので、眼精疲労には
注意しないといけない昨今です。


というわけで、中途半端ながら
映画のお話(往年の名作編)でした。

芸術の秋はもう過ぎますけど
芸術の冬・勉学の冬を楽しんで参りましょう!

いつもありがとうございます。


posted by laluz at 23:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 書物・映画etc..

2019年11月04日

2019年11月の始まり


皆さま、こんにちは。

2019年 第10番の月も過ぎました。
2019年の約83%が過ぎたことになります。

現世に不変なるものは無いと言えど
目まぐるしく対応に追われるような
事変が世界で起こっている昨今ですが…

お変わりなくお過ごしでしょうか。

こういう時季は体調を崩しやすいので
くれぐれもご自愛下さいますように。



もみぢ葉の 流れてとまる みなとには
 紅深き 波や立つらむ 


(紅葉の葉が川を流れ流れて留まる河口では、
 深い紅色の波が立つことでしょう。)



『古今和歌集』(巻五293)
 素性法師の和歌です。

「二条の后の東宮の御息所と申しける時に御屏風に竜田川に紅葉流れるかたをかけりけるを題にてよめる」と詞書にあるように、

実際の竜田川を眼前に詠んだ歌ではなく、
屏風絵に描かれた紅葉を題にして詠んだ歌です。

現実の事象を観て、そこから結末や展開を
悲喜交々に想像して詠むというのは常道ですが
そもそも想像の絵から仮想の展開を詠むという点で
想像の広がりが趣深く感じられますね。


何もない間・虚空に「動き」「変化」を加えて
「有・無限の広がり」を見出すのが
空間芸術の深奥。とすれば、静止絵の川に
紅葉の動きを与えて河口の波まで想像させる
この歌は、空間の広がりを生み出す点で
創造的想像というべき知的な美しさがあります。

(あくまで個人的な感想ですけども)


人間は日々刻々、思考認識判断を繰り返し
様々な印象感情を抱いて暮らしますが、
その思考感情の対象は必ずしも「現認」の
事象とは限りません、むしろ「眼で見たもの」
ではない伝聞で判断する方が多いでしょう。

仮に放送映像であっても、編集によって
実際の印象とは全く異なる場合もあります。
良くも悪くも「想像」が介在してきます。

例えば「地球温暖化」という議論においても
真実は温暖化どころか寒冷化に備えなければならない
かもしれないわけです、各データを多角的に見れば。

stacks-image-5f8ffb5-798x546.png
・南極ボストーク基地で掘削された氷床コアに基づくデータ
climate data より引用.

40万年前から数えても約4回の温暖化&氷寒期
を繰り返していますが、約10万年毎の温暖化も
全て「産業革命以降の急激な開発汚染・排気」
的なものなのかと言えば疑問ですよね?

(約10万年の周期で高度知的生命による文明が
 興亡を繰り返している的な異説に従うなら兎も角…)


海底火山活動の放熱による氷床・氷山の融解
それに伴う埋蔵ガスの放出による温暖化+
海面上昇、海流変化に伴う気象異常…
といった「地球の自浄システム」を前に
人間に出来る防衛など気休めのようなもの。

太陽活動の停滞周期や宇宙線量の増減による
地球の気象変動への影響について まだ
研究成果は出揃わないものの、太陽の放射量
増減の前には人類の出すCO2量など誤差…
とまで言いませんが、説得性に欠けます。



もちろん生体に有害な人工化学物質や
温室効果ガスは早急に削減根絶させた方が
合理に決まっていますが、それはあくまで
「生体球」としての地球に敬意を払う
趣旨から行われるべきものであって、

近視眼的に「温暖化」だけしか見ないのも
あまり知的な態度ではないように思います。

(寒冷化の根拠についても疑義反論あり
 温暖化危機を否定する訳ではありませんが
 寒冷リスクも念頭に置くべきという意味です。
 多様な複合要因を総合的に検証しなければ。)



環境問題に限ったことではありませんが、
文字通り玉石混交の情報氾濫の中で
総合的に真偽判断する知性がなければ、
容易に「誘導」されてしまいます。

(私が小論文対策やディベートをする時
 生徒の主張を否定することは絶対なく
 「では、このような反論については?」
 と多角的に判断することを促します。)


長々と何を言いたいか申しますと…

自分の見聞している事象・情報は
「あくまで伝聞描写で 事実の一片かもしれない」
「あるいはそもそも空想・虚偽かもしれない」
という意識を持っておくことの重要性です。



素性法師は、屏風絵は現実そのものでは
ないことを知っていますよね。
その上で、美しい空間の広がりを
現出させました。

同じ絵を見ても、流れる紅葉が
やがて堆積して汚泥に変じる
儚い面を詠むこともできますし、
それはそれでまた趣深しです。


現代においても、フィクション(虚構)は
フィクションとして楽しめば良いのですけど
その真贋を問うことなく盲信・妄信して
虚構を真実のように捉えて悲しみ狂うのは
エンターテイメントの域を超えています。

究極的に「この認識世界そのものが
フィクション(虚構)だ」という主張に対して
私は有効な反論を見出せない状況ですので

「そのまま フィクションの世界を
在るがまま楽しめば良いのでは?」
という結論に与してしまいそうですけれど。


何はともあれ、日々見聞する事象に
ついて思い惑うのも人間の特権とはいえど
どうせなら紅葉の行く末は、汚泥よりも
美しく舞う紅い波をイメージした方が
人生楽しいですよね、ということでした。

人間は苦しむ為に生を受けたのではなく
喜びを感じるために生まれ出でたので
(スパイスとしての艱難辛苦も味わいながら)
在るがままを楽しんで参りましょう。



それでは、今回はこの辺で。
いつもご訪問下さりありがとうございます。

(11月は世界情勢が許す限り 16日前後に
 もう1回更新できれば良いなと思っています)


posted by laluz at 23:50| Comment(0) | TrackBack(0) | ラルース進学塾