2018年09月17日

映画のお話 #4


皆さま、こんにちは。

今月は16日前後にもう1度更新できれば・・
と申しておりましたので、久々の月2回目
更新は 映画のお話に致します。

映画のお話 #4ということで、やっと4回?
という気もしますし、4回も書いたのか!
という気も同じくらいしますね…。

今回も、個人的に良かったと思う映画のうち
色々と考えさせられる 作品について。
(「ラルースの塔」で挙げて問題ない範疇で)



アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場
(Eye in the Sky,2015年/イギリス)


戦地から遠く離れた会議室でドローンが映し出す
映像を見ながら戦争に加担する人々の葛藤を描き、
現代の戦争の闇を浮き彫りにした軍事サスペンス。

大規模な自爆テロ計画の存在を突き止めた彼らは、
ドローンによる攻撃命令を下すが、殺傷圏内に
幼い少女がいることが判明。少女を犠牲にして
テロリスト殺害を優先すべきか否か……。

現代の戦争は、ひと昔のような人海戦術で
押し切るようなことはなく、ボタン一つで
致命的惨劇を簡単に起こすことができます。
(もちろん先進国においては攻撃実行手続は
最高責任者の裁可が必要とされていますが)


上空数千メートルからテロリストの行動を監視し、
ヘルファイアミサイルで隠密裏に敵を殲滅する
無人攻撃機ドローン。

直接反撃を受ける恐怖がないため
まるでゲームのように標的を的確に
破壊殺傷する。自軍の人的被害なくして
敵を鎮圧できるのは称賛されるべき
でしょう、戦争技術の進歩としては。

反撃・反抗する意思さえ持てない程の
戦力差で軍事的圧力をかけることにより
再燃を抑止するという構図は理解できます。

ただ、多くは「戦争」というよりは
一方的な蹂躙・虐殺だったりしますので、
宗教的信念なりを足蹴にされた者には
死を対価にしても一矢報いる!という
覚悟をより一層抱かせることになります…

まあ、戦争・紛争がなくなると困る層に
とって、全て想定内・予定調和と思いますが
その予定調和のバランスもかなり複雑精妙に
なっているので、いつ傾いてもおかしくない。

題名の「アイ・イン・ザ・スカイ」は
空のドローン・カメラを意味するだけでなく
空の目="神の目"という暗喩でもあります。

ドローン攻撃を中断して少女を救うべきか、
自爆テロを事前抑止して多くの一般市民を救うか、
この究極の問いに人間は答えることはできない。
いわば"神"のみ下せる裁可について、
人間が"神のように裁く"ことの是非。


ただ、そんなの「許される訳がない!」と
理想論で喚く資格は大多数人にないのが悲劇…。



奇跡の絆
(Same Kind of Different as Me,2017年/アメリカ)


実話に基づく、資産家とホームレスの
出会い・友情を描いた小説の映画化。

美術商として成功を収めたロンは、不倫を
妻デビーに知られ、罰としてホームレスに
給仕するボランティアに同行することに。
そこで出会ったホームレス・デンバーと
交流を深めていくロン(の家族)のお話。

キリスト教的価値観に基づくお話で
多分に"スピリチュアル"な作品ですけど
(映画としては退屈な演出もあります)
実話ということで考えさせられます。

邦題は「奇跡の絆」ですが、原題は
"Same Kind of Different as Me"

私と同じ類の 異なった(人)?
私と同じように違った類の(人)?
…と 一義的な訳出は難しいです。

私と他者は各々違っているけれど
それは等しく違っていて…天の下では
皆「違っているという点では同じ」。

人と異なっているのは間違いではない、
けれど異種・異様を怖れ排斥してきたのが
人類の歴史でした。この実話の方々のように
異種異様を「同じ」と受け入れる寛容さを
多くの人が持ち合わせられたらと思います。


この2作品とも、現実世界が舞台、かつ
宗教的視点にポイントがありますが、
キリスト教を考えるという意味で
ストレートに扱った作品を挙げてみますと。。


パッション
(The Passion of the Christ,2004年/アメリカ)


新約聖書 〜イエスと二人のマリア〜
(MARIA DI NAZARET,2012年/ドイツ・イタリア)


サン オブ ゴッド
(Son of God,2014年/アメリカ)


この3作品は観て良かったと思います。
もちろん正史教義と異なる脚色・解釈や
批判されている描写もあったりしますが
それを含めて多面的に考え得るなら有益です。

「パッション」=キリストの受難。

ちなみに"パッションフルーツ"は
"情熱の果物"ではありません。
時計草の花がまるで十字架に見えた為に
パッションフラワーと名付けられました。
その果実なので "受難の果物"です。


…と、ムダに長くなりましたね。。
やや深刻な作品ばかりでしたので、
最後は楽しい雰囲気の作品を。


マジック・イン・ムーンライト
(Magic in the Moonlight,2014年/イギリス・アメリカ)


監督ウッディ・アレンが1920年代の南仏を
舞台に描くロマンティックコメディ。

マジシャンのスタンリーは皮肉屋の毒舌家、
魔法や超能力など存在しないと信じる彼は
噂の占い師ソフィのペテンを見抜いてやろうと
自信満々で乗り込むも、彼女の透視能力を
目の当たりにして価値観を揺さぶられ、
さらには性格も良い彼女に惚れてしまうが…

…と、普通に楽しめる作品なのですが、
結構奥深い要素もあるのが秀逸です。

ハリー・フーディーニ(1874-1926)は
サイキックハンターとしても有名な
天才手品師で、霊媒師マージェリー・
クランドン (1888–1941)との"対決"が
脚本の実話モデルとなっています。

「オカルト」と「マジック」といった、
お互いに相容れないと思っている存在を
人間として互いに認めながら融合していく
というのは、ある意味"王道"ですけど。

原題は"Magic in the Moonlight"

これから24日夜にかけて月は満ちていきます。
月光の下で「魔法」と言うべきような
素晴らしい日々を享受下さいますように。

ちょっと纏まりに欠けますが、
もうタイムリミットなのでこの辺で。

いつもありがとうございます!


posted by laluz at 23:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 書物・映画etc..

2018年09月04日

2018年9月の始まり


皆さま、こんにちは。

2018年 第8番の月も過ぎました。
2018年の約67%を終えたことになりますね。

猛暑が続いたと思えば 大型台風が通過したりと
ご不便を強いられた方もおられると思いますが
これから少しは一段落できる秋の訪れを
感じることができるでしょう。

何はともあれ、充実された日々を
お過ごしであるようお祈りするばかりです。




なにごとも 変はりのみゆく 世の中に
 おなじかげにて すめる月かな



( あらゆるものが移り変わって行く この世界にあって
  変わらぬ光で澄み輝いている月よ。)




特に説明も必要ないシンプルな和歌ですね。
だからこそ洗練された清澄さが際立つというか。

説明不要といっても、時代背景は以前触れたように
激動の真下なので「何事も変わりのみゆく世の中」
というのは、我々の想像以上の実感覚と思います。

ただ、現代は現代で、激変する時代といえます
(技術・環境の変化は筆舌に尽くし難く、また
日本においては実感しないだけで政変・紛争
 などは世界各地で続いていますし…)


事象の把握も進んで、西行の時代よりは
「月」や「光」のことも分かって来ました。

芸術表現に際して無粋に興を削ぐ意図は
ありませんけれど、「月」の表面はボコボコ
特に月の裏側は…幻想的な月の印象とは
相容れないような異様・不気味なほどの
クレーター地表ということだったり、

月は「我々が見ている側」を常に向けたまま
回っていることも、現代では周知事実ですが
表側の"うさぎ模様"は地球の重力との協働で
出来たであろうことも分かってきました。

長い宇宙時間を考えるなら「月」さえも
変わって来ましたし、変わって行くもの
ではありますが、それらを踏まえた上で
なお「不変に清澄なる月光」というものに
思いを馳せることは 大切なひとときです。

(まあ…月光の源である太陽さえ寿命があるので
 「不変に清澄なる月光」というのも幻想ですが
 そこは瞑想上の癒しのイメージというか。)




ゆくへなく 月に心の すみすみて
 果はいかにか ならむとすらむ


(在るがまま 月に想いを馳せていると 心が澄んでいき
 この果てに私の心はどのようになってしまうのであろうか)



…というイメージでしょうか。
まさに月と同化している境地。

月と同化、と自分で言ってしまうと
lunatic(狂気の)な人に思われるでしょうけど。

(実際、月の引力は、潮汐だけでなく血流にも
 影響を与えると考えられて来ましたし、あながち
"月と狼男"的な逸話は嘘ではないでしょうね。)



ただ、互いに影響し合っているということは不変。

生活環境やシステムの細部は刻々と変化しても
物事の「核」「本質」というものは容易く変化
するものではありません。

今後、人工知能が地球の行方を差配するように
なったり 地球外に移住する…というような
"大きな変化"があっても、人間の本来持ち得る
徳性やら創造性の尊さは変わらないはずです。

それに比べれば"小さな変化"といえるような
受験制度や就職活動規制、災害による住環境変化
などにおいても、各々の本質を見誤らないよう
それでも「変わらないこと」の尊さを考えながら
実りある秋日を歩んで参りましょう。



昨年度「2017年9月の始まり」は「芙蓉(Hibiscus Mutabilis)」を
テーマにしていましたが、「変化と進化」という点で
相通ずるといえますので併せて読み返して頂けば。



それでは、今回はこの辺で。。

9月も素晴らしい出会いで充ちていることを
皆さまと共に心から喜びたいと思います。

いつも本当にありがとうございます。



(今月は世界情勢が許す限り 16日前後に
 もう1回更新できれば良いなと思っています)
posted by laluz at 23:30| Comment(0) | TrackBack(0) | ラルース進学塾